Relation familiale

家族・親族関係

日本人⇔フランス人の間での、結婚・財産管理・離婚について

婚姻

mariage

日本式の婚姻方式

誰が?

日本国内外に住む日本人同士のカップルだけでなく、日仏カップルでも利用することができます。

どうやって?

婚姻届に必要事項を記載し、婚姻当事者及び証人2名が署名をした上で、区役所(日本国外に住む日本人同士のカップルの場合は日本大使館)に提出します。
なお、原則として婚姻届の提出は、婚姻当事者でなくてもすることができますが、日仏カップルの場合には、少なくともフランス人配偶者が区役所に赴いて直接婚姻届を提出することが必須です。そうでないと、フランス本国での婚姻効力が否定されるおそれがあります。

主な必要書類は?

フランス人配偶者について、婚姻要件具備証明書 certificat de capacite a mariage(在日フランス大使館にて取得)や出生証明書 acte de naissance(フランス本国の市役所から直接またはオンラインにて所得)等が必要となります。

フランス式の婚姻方式

誰が?

フランス国内外に住むフランス人同士のカップルだけではなく、日仏カップル、フランスに住む日本人同士のカップルでも利用することができます。

どうやる?

1.市役所 mairie(フランス国外に住むフランス人同士のカップルの場合にはフランス大使館)に、必要書類を提出。
2.担当係官が書類を審査し、必要な場合には当事者と面談。
3.審査通過後、婚姻当事者の氏名・住所及び婚姻予定日・場所が市役所に10日のあいだ、公示 publication des bans されます。
4.上記公示期間満了後、市役所にて、市長maire立ち合いの下、婚姻式が開かれます。この婚姻式は公開で、少なくとも当事者及び証人2名の出席が必須です。

主な必要書類は?

日本人配偶者について、戸籍のほか、判断能力証明書(法務局が発行する「登記されていないことの証明書」)や独身証明書(日本国弁護士が作成する慣習証明書 certificat de coutume)等が必要になることがあります。

夫婦財産制度

        régimes matrimoniaux

日本法

法定夫婦財産制度

夫婦財産契約をしない場合、デフォルトの夫婦財産制度は「別産制」であると理解されます。
別産制の下では、配偶者が単独名義で得た財産については、各自の財産とされます。
もっとも、離婚の際には、財産分与が認められます。このため、通常は、婚姻中に得た財産(婚姻前から存在する財産や相続・贈与によって得た財産を除く)が離婚時には折半されることになるのです。

夫婦財産契約

夫婦財産契約を締結することによって、上記法定夫婦財産制度とは異なる夫婦財産制(例えば、財産分与を認めない完全なる別産制や、夫婦の財産を全て共有財産とする完全なる共有制など)を採用することができます。
もっとも、日本の民法上、夫婦財産契約は婚姻前に締結する必要があり、婚姻後は変更できないことになっています。
また、夫婦財産契約を第三者に対抗するには、法務局に登記をしなければならないことになっています(法務局に登記されるケースは非常に稀だと言われています)。
なお、日本の民法上、夫婦財産契約は私文書(当事者本人が、自分たちで作成した契約書に署名押印した文書)による契約でも有効ですが、フランス人の配偶者がフランス本国に夫婦財産契約の届出をする際には、公正証書が求められます。

フランス法

法定夫婦財産制度

フランス法の法定夫婦財産制度は、いわゆる「共有制」communaute reduites aux acquetsです。これは、婚姻中に得た財産(婚姻前から存在する財産や相続・贈与によって得た財産を除く)は、夫婦の共有財産となる制度です。離婚時を見ると、日本法の法定夫婦財産制度とよく似ているのですが、フランス財産制度の特徴は、婚姻中においても夫婦の共有財産が観念されることです。このため、フランスでは、例えば、婚姻中に配偶者の一人が単独で不動産を購入する際にも、当該夫婦の夫婦財産制が確認されるのです。

夫婦財産契約 contrat de mariage

フランス法の下では、日本法に比べて、夫婦財産契約の締結・変更がより自由にできるといえます。
フランスでは、夫婦財産契約を婚姻後でも締結することができ、婚姻後の変更も可能です。
締結・変更する場合には、必ずフランスの公証人に公正証書を作成してもらわないとなりません。
また、夫婦財産契約を締結・変更したことが婚姻証明書 acte de mariage に記載されることにより、第三者にも対抗できるようになります。

FAQ

日仏の夫婦・家族関係に関してよく頂くご質問をまとめています。

フランスで結婚しようとしたら、慣習証明書 certificat coutume が必要と言われました。誰に頼めばいいのですか?
この場合の慣習証明書は、日本の弁護士が作成することができます。当職の方でお引き受けすることができます。
フランス人と結婚するのですが、夫婦財産契約はした方がいいのですか?
夫婦が居住する国、夫婦の財産、夫婦の職業、将来の生活設計、その他諸事情によって異なります。まずは、日本およびフランスの法定夫婦財産制、将来居住する国の法定夫婦財産制がどうなっているのかを知っておくとよいでしょう。疑問点は、当職までご相談ください。
フランスで夫婦財産契約をするには、どうしたらいいのですか?
フランスでは、当事者の意向に従い、公証人notaireが夫婦財産契約を作成します。当職の方でご相談を聞いた後、フランスの公証人をご紹介する場合もあります。
日本で夫婦財産契約をするには、どうしたらいいのですか?
婚姻相手がフランス人である場合には、通常は、日本の公証人に夫婦財産契約を作成してもらう流れとなります。もっとも、夫婦財産契約の内容を決めるにあたっては、国際結婚に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。よろしければ、当職までご相談ください。

認知

reconnaissance

認知

婚姻している夫婦の間に子が生まれると、両親と子の間に法律上の親子関係が成立します。一方、婚姻していない男女の間に生まれた子どもについては、父親が認知することによって、父子関係が成立します(日本法・フランス法)。

日本式の認知

父親が、役所に認知届をすることによって、行います。
・胎児認知:子の出生前(胎児の間)の認知には、母親の承諾が必要です。
・未成年の子の認知:母親の承諾がなくとも、認知することができます。
・成年の子の認知:子が成人になると、子の承諾がなければ認知できません。

フランス式の認知

父親が、役所に認知届をすることによって、行います。日本式の認知のように、母親または成年の子の承諾は必要ありません。

離婚

divorce

日本式の離婚方式

合意離婚

夫婦双方及び証人2名が署名した離婚届を、日本の役所に提出し、受理されることによって離婚が成立します。

調停離婚

夫婦の一方が離婚調停を日本の家庭裁判所に申し立て、夫婦双方が家庭裁判所に出頭し、調停委員仲介の下で話し合いによって、離婚を決めます。

裁判離婚

夫婦の一方が離婚裁判を日本の家庭裁判所に提起し、夫婦双方が提出した主張・証拠を元に(弁護士を付けることが多いです。)、裁判所が離婚を決めます。

フランス式の離婚方式

合意離婚 divorce par consentement mutuel

夫婦双方にそれぞれ弁護士が付き、離婚条件を話し合います。離婚合意書に夫婦双方及び各弁護士の4名が署名をし、これを公証人が登記することによって離婚が成立します。

裁判離婚 divorce judiciaire

夫婦の一方または双方の弁護士が(※弁護士必須)、フランスの家庭裁判所に対し、離婚裁判を申し立てます。夫婦双方の各弁護士が提出した主張・証拠を元に、裁判所が離婚を決めます。なお、離婚判決が下されるまでの間、子の監護や養育費について暫定的措置を求めることもできます。


【更新日:2023年8月25日】